小説の中のオプス・デイ
ダ・ヴィンチ・コード内で、ソニエールらシオン修道会幹部殺害の実行犯であったシラスが修道僧として所属していたのがオプス・デイ(opus day)です。また、そのシラスが父と慕っていたマヌエル・アリンガローサ司教が代表を務めています。小説内では以下のようにして描かれています。
オプス・デイは、ヴァチカンに認められた唯一の属人区であったが、強引な勧誘や、シリスを用いた危険な肉体的苦行といった慣習を危険視したヴァチカン評議会は、半年後に属人区としての認可を取り消す事を宣告した。これに反発したアリンガローサは、その状況をなんとかしようと画策した。そこに声を掛けて来たのが「導師」と名乗るフランス訛りの男であった。
導師は、2千万ユーロの金を求める代わりに、ヴァチカンにとって最も知られてはならない聖杯伝説の真相をちらつかせた。アリンガローサはそれに乗って、教皇庁からの手切れ金によって導師の要求を呑んだ。ヴァチカンとしても、オプスデイが6ヶ月の内に自主的にカトリック教会から離脱する事を望んでいたため、これは渡りに舟であった。
そしてソニエールからキーストーンの所在を聞き出す実行日、アリンガローサは導師にシラスを預け、自身はヴァチカンを訪れて2千万ユーロのヴァチカン発行の債券を受け取る。しかしローマからパリへと向かう中、ファーシュからの連絡を受けたアリンガローサは、嫌な予感を感じてロンドンへと向かう。そして、ファーシュと落ち合い、事実を全て知る事になる。今回の事件は、オプス・デイの危機を知った導師なる人物が巧妙に自分の存在を隠しながら、自分たちを利用して起こした事件だったのである。
ダ・ヴィンチ・コード内で、得体の知れない不気味な組織の様に描かれておりますが、少なくとも小説内での立場は、ある意味被害者の立場でもあります。ヴァチカンから三行半を下されてショックだった所を、導師につけ込まれてしまうのです。
現実世界のオプス・デイ
オプス・デイはラテン語で、その意味は「神の御業」である。正式名称を「属人区聖十字架とオプス・デイ」と言う。1928年、スペイン人のホセマリア・エスクリバーデ・バラゲル司祭が創設した。エスクリバーがその著書『道』に収めた999の教訓を守る、キリスト教の信仰を固く守る敬虔なカトリック団体であると自認している。スペインからヨーロッパ全土、そしてアメリカ大陸へと、その勢力は拡大していく。そして、1982年、当時の教皇ヨハネ・パウロ2世は、オプス・デイを教会認定の唯一の属人区として承認した。これは教会法で定められた組織の形態であり、その裁治権が特定の地域ではなく、その会員自体に及ぶというものである。2006年、その会員は8万人以上とも言われている。
オプス・デイの階級には、大まかに
・オプス・デイにすべてを捧げて生涯独身を通す「専従信者(ヌメラリー)」
・独身を守るが血縁家族らと施設内で暮らす「準会員(アソシエイト)」
・通常の生活との両立を保ちながらも可能な限りオプス・デイに身を捧げる「在俗信者(スーパーヌメラリー)」
・正式な信者ではなく活動の補助のみを行う「協力者」
の4位階が存在し、他に施設の管理者や信徒の指導係のような人間もいると言う。オプス・デイによれば、この区分けはあくまでどの程度オプス・デイの活動に生活を捧げられるかを表わすだけであり、上下の関係は無い。そしてほとんどがスーパーヌメラリーと呼ばれる肩書きを持つ。
・独身を守るが血縁家族らと施設内で暮らす「準会員(アソシエイト)」
・通常の生活との両立を保ちながらも可能な限りオプス・デイに身を捧げる「在俗信者(スーパーヌメラリー)」
・正式な信者ではなく活動の補助のみを行う「協力者」
アメリカにも4000人弱の信者がいると言われ、多くは経営者や医者といった上流階級に属する者、社会に影響力を持つ者らしい。
ニューヨーク市のレキシントン・アヴェニュー243番地には、巨大な本部ビルが存在する。
オプスデイが言うには、その理念は、「教会の福音宣教の使命に貢献するために『仕事の聖化』を通して信仰に合致した生き方を実践し、多くのキリスト信者を励ますこと」とされている。その為に、日常生活の聖化を目指して、日々、聖書と道の教えを実践している。
ところが、オプス・デイに対する様々な批判や憶測が飛んでいるのもまた事実である。
まず、会員の名前を非公開にしたり、活動内容を公にしないなどの秘密主義を貫いている。これはオプス・デイに言わせると「プライバシーを尊重している」との事であるが、こう言った態度が様々な憶測を呼ぶ事になっていると言える。
また、オプス・デイに入会してひどい目にあったと主張する被害者が立ち上げた「オプス・デイ監視ネットワーク(ODAN)」というオプス・デイ会員となった親族を救うためのグループも存在している。ODANのサイトを見ると、そこに書かれた内容はかなり信憑性と鬼気迫るものを感じさせ、オプス・デイはこれに対して反論してはいるが、伊達や酔狂でこのような組織を立ち上げる意味も無いだろう事から信憑性は高いように感じられる(批判派がオプス・デイを陥れようと誇張していると考えられなくも無いが)。
オプス・デイに対する批判的な意見としては、以下の様なものがある。
・厳密な男性優位主義を貫く ・強引な勧誘行為 ・肉体的苦行
オプス・デイのセンター内の部屋は、完全に男女別となっており、入り口も男女で分かれているという。そして、炊事や掃除といった作業は女性が行う事とされ、男性センターも女性が清掃する。その間、男女の接触を避けるために、女性が訪れる間は、男性は部屋を空けるのである。
勧誘行為は、大学のキャンパスやミサなどで行われ、最初はサークルへの参加と称してオプス・デイの勧誘用に用意された会合に誘う事から始まる。数度サークルに参加するうちに、徐々に司祭から霊的な指導が行われる様になり、やがて入会を迫るという事らしい。「強引」という言葉とは少々イメージが違うが、日本でも幾つかの怪しげな宗教団体が取り上げられた時にあった「洗脳」の様なものが、もしかしたらオプス・デイでも行われていたのだろうか(これは私の全くの憶測です)。
肉体的苦行に関しては、ダ・ヴィンチ・コード内でも登場したシリスと呼ばれる棘のついた金属の帯や、ヒドラを思わせる縄の鞭によって、自身の体を痛めつけて清めるという行為が噂されている。
オプス・デイは、ダ・ヴィンチ・コードでこういった記述がなされている事に対して、そのWebサイト上で反論している。オプス・デイには日本語サイトもあるため、これに関してはそちらを参照。
宗教団体の実態
以上、オプス・デイに関して私が調べた内容を簡単に書きました。以下は、それを踏まえた上での私の私見が中心になるので、流し読んでもらって結構でございます。ダ・ヴィンチ・コード刊行当初は静観していたオプス・デイですが、さすがに全世界的なベストセラーとなったことで、上記の通りWebサイト上で反論をしました。トップページに載せ、かなりでかでかと発表していました。私としては、映画化もされて一層その影響が大きくなる事が予想されるので、もし本当に全くの偽りであるならば名誉毀損でダン・ブラウンや映画の配給元であるソニー・ピクチャーズを訴えればよさそうなものなのに、それをしないと言う事は、あながち間違っていないか、あるいは間違っているにしてもあまり騒ぎ立てて逆に詳細に調べられてしまう事を怖れている、すなわち多かれ少なかれ自分たちも「まずい」と思っている事があるのではないか、と疑ってしまいます。しかし、逆にオプス・デイの知名度が上がったと言う事も言えるでしょうから、それでよしと思っているのかもしれません(勝手な予測ですが、後者が大きいような気もしないでもありません)。
スパイによるオプス・デイ内部の調査や、実際に裁判ごとになったこともあるようです。とは言え、ヴァチカンの教皇庁認定の組織ですから、警察組織としても捜査するのに尻込みしてしまいそうですが……。
さて、ここからは全くオプス・デイとは関係ないのですが、私の経験を言いますと、私も大学時代に、ある怪しげな宗教団体の会合に参加したことがあります。入学時に「キャンパス内でおかしな勧誘活動をする団体がいることがあるので気をつけてください」というチラシの様なものを受け取ってはいたのですが、最初はそれだとは気づきませんでした。
ある日、私が講義を追えて自転車の駐輪所に向かうと、男女組が近づいてきて、「アンケートに答えてください」と声をかけられました。女性の方がなかなかな美女だったので(ぉぃ!)、私はそれに応じました。20くらいの質問に答えてる間、ふたりは常ににこにこしながら「うん。うん。なるほど」と言った感じで大袈裟なくらいこちらの答えに納得、同調している感じです。
質問が終わると、二人は、自分たちはある英語とパソコンを楽しく学ぶサークルの者だ、と名乗りました。そして、私に対して、まずは体験のような形で良いから参加してみないか、と誘ってきたのです。
アンケートをまずとって、という形は取らないものの、キャンパス内でサークルの勧誘は普通に行われているものですから、特別それを疑わしいとは感じませんでした。私は当時英語もパソコンも苦手でしたから、興味を惹かれてそのサークルに参加してみました。
サークルは、新規体験者が他にも多くいたからか、そもそも最初からそんなものは一切やらないのかわかりませんが、英語やパソコンを学習しようと言う雰囲気は全く無く、その日はただのお茶会という感じでした。みんなで丸くなって、コーヒーや紅茶を飲みながら、雑談している、という感じです。ただ、途中から徐々に、どうもこちらに対して勧誘を半強制する雰囲気を私は感じるようになりました。けしてはっきりと、強い口調でいう事は無く、また、もちろん暴力など振るわないのですが、なんとなく逃れられない雰囲気を作り出していくのです。なにぶん数年も前のことで詳しくは覚えておらず、その日になにか宗教的な会話を交わしたかは覚えていませんが、私はどうも作られた明るさと、その裏に潜む重苦しい雰囲気に気味悪さを感じて、適当な理由をつけてその日はその場を逃れた記憶があります。
サークルの名前は聞いていたので、その日にアパートに帰って、入学時にもらったパンフレット類を漁ってみると、そのサークルの名前が書かれた紙が目に飛び込んできました。それは、大学が「注意しろ」と呼びかけていた団体だったのです。大学公認の危険な団体の癖にあんなに堂々とキャンパス内で勧誘活動しているとは思わず、僕はびっくりしました。もちろん、以後、そのサークルに参加することはありませんでした。
ちなみに、アンケート用紙には名前と電話番号は書いてしまっており、翌日以降、何度か携帯電話に電話が掛かってきました。一回目には出てしまったのですが、それをアドレス帳に登録して、以後、その番号からの電話は一切出ませんでした。記憶が定かではないのですが、たしか住所は書かなかったと思うので、もし住所を書いていたらどうなっていたろう、とちょっと恐ろしくもあります。(と言っても、力ずくで、という雰囲気ではなかったので大丈夫だったとは思いますが)。
オプス・デイとは全く関係のない話ではありますが、自分自身がこういう勧誘行為を受けたことがあるので、世の中にはそんな怪しげな団体もあるのだな、というのを身をもって体験していた分、オプス・デイという団体にしても、(入り口がダ・ヴィンチ・コードの気味悪い記述だったというのもあって)どうもあまり良い印象を持っていないのは確かであります。まぁ、そもそもキリスト教徒ではない私は、キリストの精神なんてものを心の底からは理解できないのでありますから、オプス・デイに関しては言わずもがな、ですが。
※けしてオプス・デイを批判しているわけではなくて、「自分にはその精神は理解不能」という意味です。
尚、ここでの記述は書籍やWebサイトで調べた範囲での内容ですので、オプス・デイの実態と異なる部分はあるかもしれません。
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個人的に楽しむならいいが、
角川の社員か、映画関係者だろうが、
せこい 儲けをするなよ。
事実じゃなく 商売事実だけが見える。
自分も基督教の事は理解不能な質ですから、客観的に不気味だという事実以外は実感できませんので、筆者様の視点には共感するものがありました。